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健康コラム
vol.25 睡眠負債と返済方法

保健師コラム

vol.25 睡眠負債と返済方法

かつて流行語にもなった「睡眠負債」という言葉をきいたことはありますか?
よい睡眠をとることは、心にも体にも大切です。
今回は睡眠についてのお話です。


「睡眠負債とは?」

日々積み重なった少しの睡眠不足が蓄積されていく状態です。単なる睡眠不足と睡眠負債は少し意味が違います。
睡眠をお金に置き換えてイメージしてください。
不足は「手持ちのお金が足りず貸しを作るけどすぐに返済できる状態」負債は「借金につぐ借金が重なり、返すあてもなくどうにもならなくなる状態」
です。
睡眠負債は、疲れやだるさを感じたり日中の眠気を強くするだけでなく、さまざまな病気を引き起こす要因にもなります。


「理想の睡眠時間は?」

人間の理想の睡眠時間は7時間程度であるといわれています。
しかし平成30年度の調査では、日本人の平均睡眠時間は6時間未満の人が男性では36.1%、女性では39.6%、年齢別では男性の30~50代、女性の40~60代では4割を超えていました。
ペンシルベニア大学で行われた研究で、毎日6時間の睡眠を二週間続けた時と、2日続けて徹夜をした時の脳の反応は同じであったのに、2日続けての徹夜は疲れを自覚できたが、毎日6時間寝ていた人は無自覚であったそうです。
睡眠負債は自分でなかなか気づくことができないのです。


「睡眠負債が続くとどうなるの?」

・免疫機能の低下
免疫機能は自律神経の副交感神経と関係があります。副交感神経は簡単にいうとリラックスしているときに働いている神経で、夜間に優性となる傾向があります。つまり眠っている状態が一番活性化され、免疫物質が生成されます。
また睡眠中に分泌される成長ホルモンも、傷ついた細胞を修復する作用があり、体調の回復を助けます。
睡眠不足が続くと、体内に侵入した菌やウィルスと戦う免疫力が弱まり、風邪をひきやすくなってしまいます。

・高血圧や糖尿病のリスクが高まる
副交感神経はカラダの修復を助ける機能があります。睡眠不足が続くと副交感神経がうまく働かなくなり、高血圧や高血糖状態を招き、慢性化すると脳梗塞や心筋梗塞、糖尿病のリスクを高めます。

・メンタル不調の助長
睡眠負債は自覚できない睡眠不足も含まれます。睡眠不足が続くと脳が休まらず、集中力や思考能力が下がってしまい、仕事でミスを招く恐れがあります。再びミスを繰り返すかもしれないと自信がなくなることで気分も落ち込み、仕事が気になってますます眠れない…などと、ストレスが重なり、メンタル不調に陥る場合もあります。


「返済方法~よい眠りにつこう~」

・昼寝のすすめ
睡眠負債に最も有効な方法は15~30分程度の昼寝をとることです。
仕事の合間で難しく感じるかもしれませんが、深く眠る必要はなく、軽く目をつぶるだけでも効果があるので、職場のトイレや車の中、移動時間を上手に使ってみてはいかがでしょうか。

・朝起きたら太陽光を浴びよう
朝起きたらカーテン越しでもよいので太陽の光を浴びるようにしてください。曇りでもよいです。太陽の光は眠気を誘発するホルモンの分泌を抑え、体内時計をリセットしてくれます。これは睡眠のリズムをつけるのに重要で、15~16時間後に再び眠気を誘発するホルモンが分泌されはじめるので、眠気がやってくるようになります。
このホルモンを分泌させるには、不規則にならないよう生活をしたり、運動をすることも大切になってきます。

・睡眠の質をあげよう
なかなか忙しくて睡眠時間を確保できないのであれば、睡眠の質を高めるのはいかがでしょうか。

①寝ながらスマホの卒業
スマートフォンからはブルーライトという光が出ており、睡眠を妨げます。就寝30分前からはできるだけ控えることをお勧めします。

②食事や入浴は眠る2時間以上前に済ませる
寝る直前に食事をとると、食べ物を消化するため胃腸が働き続け、睡眠の質が下がるといわれています。また、余分なエネルギーも体内に蓄えてしまうので食事はできれば3時間前までに済ませたいですね。
入浴は良い眠りにはお勧めなのですが、時間は考えなくてはなりません。入浴後体温が下がるときに眠気がくるといわれています。遅くても1時間以上前には済ませましょう。

③寝酒には頼らないこと

アルコールには入眠作用はありますが、眠りを浅くしてしまい、熟眠できなくなります。
また利尿作用によって夜中にトイレに行きたくなる原因にもなります。
夕食時に適量を楽しむのが一番よい付き合い方です。

1日の1/3は睡眠です。毎日いきいき過ごすためにも睡眠負債をためないようにしていきたいですね。


参考

厚生労働省平成30年度国民健康・栄養調査結果の概要 他

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