vol.12 健康診断の基本の考え方

2019年4月26日 産業医コラム

健康診断の基本の考え方 イメージ

健康診断とは、医師の診察や各種検査で健康状態を評価し、健康の維持や病気の予防・早期発見に役立てるものです。事業者には労働者の健康状態を把握し、的確な健康管理を行っていくために、労働者に対し健康診断を実施することが労働安全衛生法により義務付けられています。同時に、労働者にも受診義務を課しています。

定期健康診断の項目

定期健康診断の項目は以下の通りです。

  1. 1)既往歴及び業務歴の調査
  2. 2)自覚症状及び他覚症状の有無の調査
  3. 3)身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  4. 4)胸部エックス線検査及び喀痰検査
  5. 5)血圧の測定
  6. 6)貧血検査
  7. 7)肝機能検査
  8. 8)血中脂質検査
  9. 9)血糖検査
  10. 10)尿検査
  11. 11)心電図検査

結果を理解して対処することが重要

健診はまず受けることが大切ですが、より重要なのは結果を理解して対処することです。健診は病気の予防・早期発見を目的としていますから、要精密検査と判定されたのに放置していたのでは何の意味もありません。

自覚症状がない場合は放置しがち

特に、自覚症状がない場合は危機感をあまり感じることがないため放置しがちです。しかし、高血圧を放置すれば心筋梗塞、狭心症、脳卒中、腎臓病などの発症の危険性が増します。貧血といっても鉄欠乏性貧血だけではありません。胃がん、大腸がん、子宮筋腫などで持続的な出血が貧血を起こしていることもあります。

肝臓は沈黙の臓器

また、肝臓は沈黙の臓器といわれ、自覚症状が出にくい臓器ですが、肝機能障害を指摘されて精密検査を受けた結果、脂肪肝、肝炎、胆嚢や胆管の病気が発見されることもあります。周知の通り、血中脂質の異常は心臓病、脳卒中などの危険因子です。

有所見率は年々増加

統計を見ると、健診結果全体の有所見率は年々増加しており、一昨年は54.1%でした。血中脂質検査の有所見率が32.0%と最も高く、以下血圧15.7%、肝機能検査15.2%、血糖検査11.4%と生活習慣が影響する項目で高くなっています。中でも血圧、血糖検査は近年増加傾向にあります。

健診の有所見率(全国)

血圧 肝機能検査 血中脂質 血糖検査 有所見率
平成19年 12.7 15.1 30.8 8.4 49.9
平成24年 14.5 15.1 32.4 10.2 52.7
平成29年 15.7 15.2 32.0 11.4 54.1

生活習慣の改善が重要なポイント

このことからも、生活習慣の改善が健康障害を防ぐ重要なポイントであることが分かります。日頃から積極的に運動をする、食事に気をつけるなど個人的な対策を取ると同時に、企業レベルでの対策が重要です。長時間労働は精神的肉体的な負担となるだけでなく、生活習慣にも悪影響を与えます。

健康障害防止に向けた施策

厚労省は労働者の健康障害防止に向け、「過重労働による健康障害を防ぐために」という系統立てた施策を示しました。

  • ・時間外労働を減らす
  • ・有給休暇の取得を推進する
  • ・健康管理を徹底する
  • ・産業医面談など適切な事後措置を合わせて行う

企業側はこういったことを意識し、労働者が健康でストレスフリーな日常を過ごせるよう取り組んでいきましょう。

参考資料
東京産業保健総合支援センター『労働衛生のハンドブック 平成30年度版』
厚生労働省『定期健康診断結果から見た有所見率の推移』
厚生労働省 中央労働災害防止協会『過重労働による健康障害を防ぐために』

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